『Think right(シンク・ライト)』正しい決断をするための思考法とは!?

正しい決断をするための思考法とは⁉『Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~』

『Think Smart 間違った思い込みを避けて賢く生き抜くための思考法』『Think clearly 最新の学術研究から導いた、より良い人生を送るための思考法』の2冊はベストセラーのため知っている人は多いと思います。

しかし、実際は、この最近出版された『Think right』こそが、『52の思考法シリーズ』の第一弾なのです。海外では、この本が1番読まれています。

人間は誰しも『自分は正しい判断、選択をしている』と思います。特にそう思っている方ほど、誤った選択をしやすいものです。

もし、誤った選択を行うタイミングや、その結果を事前に知っていれば、ある程度は回避できはずです。本書では、身近な例を用いて、そういった「思考の落とし穴」についての多くの例を紹介してくれます。
内容も、様々な実験結果を元とした内容や、心理学に基づいた説明で行われています。

もし、メンタリストdaigoさんが好きな人は、気に入る内容が書かれているでしょう。(笑)

今回は、この本に書いてある、よく日常で遭遇するであろう落とし穴、またビジネスマンにとって仕事に活用できるであろう内容を厳選して質問形式でご紹介したいと思います。
クイズに答えるつもりの軽い気持ちで、読んで下さい!

1.フレーミング効果

まずは、フレーミング効果についてです。

.さて、質問です!あなたならどっちを選びますか?
目の前に2種類の肉があります。

①脂肪分99%カットの肉
②脂肪分1%の肉

どちらも同じことを言っているのに、①の「脂肪分を99%カットされた肉」の方が健康に良いと判断する人が多いという研究結果があります。
次は

①脂肪分98%カットの肉
②脂肪分1%の肉

であればどちらを選びますか?
これも面白い結果になり、脂肪が2倍含まれている①の「脂肪分98%カットされた肉」を選ぶ人が多いそうです。

こういった同じ状況でも、表現の仕方で受ける印象が違うことを『フレーミング効果』と言います。
これは、同じ絵を飾るときでも入っている額縁が立派であれば、その絵の価値を高く評価してしまい、額縁に入っていないと安く評価してしまう現象に由来しています。

つまり、この話から言えることは「聞こえの良い表現に惑わされない」ということです。フレーミングの罠にはまってしまうと、全体の一部しか見えなくなってしまいます。

もし、車を買うことがあったとしたら、走行距離による値段ばかりを気にするのではなく、エンジンの音や内装も気にすべきです。

2.希少性の錯覚

次の事例は「希少性の錯覚」です。
ある2つのグループにクッキーの質を評価する実験を行いました。

グループAには、クッキーの箱ごと。
グループBには、クッキーを2枚だけ渡しました。

結果は、箱ごともらったグループAより、2枚しかもらわなかったグループBの方がクッキーの質をはるかに高く評価したそうです。これは何度行っても同じ結果だったそうです。

少ししかないクッキーは美味しく感じてしまうのです。(笑)

よくチラシやCMなどの広告で「在庫が無くなり次第、終了!」だったり、「本日限り!」という期限を知らせる文面を見かけたことがあるでしょう。
これは完全に「希少な存在」であると認識することで、自分の中で勝手に価値を高めてしまっている傾向がある。

なので、こうした錯覚に陥らないよう「希少なもの」に惑わされないよう、それがどのくらい役に立つのかを基準に正確に判断できるようにしましょう。
希少性の広告がある場合は、一度立ち止まって「本当に今、必要か?欲しいのか?」を心に問い正してみましょう。

3.サンクコストの罠

次は、「サンクコスト」という言葉についてです。
さて、また質問です。

あなたは1800円の映画のチケットを買い、映画を観に行きました。
しかし、実際映画が始まると、役者の下手な演技、展開も読めてしまうなどこれほど面白くない映画があるのか?というのが30分くらいでわかってしまいます。
しかも、この映画は2時間30分あり、この苦痛をあと2時間耐えなくてはなりません。
その時、あなたはどのような行動をとりますか?

この質問で、見る価値がないと判断して、すぐに帰れる人は、判断などが必要になる「経営者」や「チームのリーダー」向きと言われています。
もし、「もったいない」と思ってしまい、最後まで渋々見てしまう人は、常に『決断』『判断』をしないといけない役職などに向いていないと言われています。

さて、表題である『サンクコスト(sunk cost)』という言葉をご存じでしょうか?

サンクコスト(sunk cost)とは、直訳すると、sunk=埋没、cost=費用であり、つまり、もはや回収できない費用のこと、を言います。

人は良く、この「サンクコストの罠」にかかると言われています。

大きなプロジェクトで新たな商品開発に携わっており、既に費用も広告費も莫大にかけているとしましょう。しかし、このプロジェクトが全然うまくいかず、商品が一向に売れる気配がありません。解決の糸口が見えない場合、あなたはどちらの選択をしますか?
①「大きな費用をかけているんだから、今更引き返せない。更に予算をかけて、成功するまで頑張ろう」
②「今すぐ手を引いて、新しい商品開発に切り替えよう」

どちらも正解とは言えませんが、全く先が見えない場合は早めの決断をすることが大事です。ほとんどの人は、サンクコストの罠にかかり、①を選択します。

さて、どうして、私達はこういったサンクコストの罠にかかりやすいのかと言いますと、それは、私達はみんな、『矛盾のない状況』を作り出そうとする心理があるからです。
もし、プロジェクトをここで引いてしまうと、矛盾が生じ、これまでしてきたことの間違いを認めてしまうことになります。

つまり、何かに時間や費用を投資し続けるときに、「もったいないから」という理由で判断するのではなく、現在の状況と今後の見通しだけに目を向けると良いでしょう。
膨れ上がった費用や損失を無視してこそ、合理的な判断ができるのです。

4.コントラストの罠

心理学者ロバート・チャルディーニの著書『影響力の武器』の中で、アメリカで洋服店を営む『シドとハリー』というお話があります。シドは販売員で、ハリーは仕立てを担当していました。
スーツを試着していたお客さんがそのスーツを気に入ったと気付くと、シドは耳が遠いふりをしました。そして、お客さんがシドにこのスーツの値段を聞くと、シドはハリーに向かって「このスーツの値段はいくらだったっけ?」と聞きました。すると、ハリーは大声で「その上等なスーツは42ドルだよ!」と当時にしては非常に高い値段を言いました。すると、シドは聞こえなかった振りをして、「いくらだっけ?」と繰り返し、ハリーは「42ドルだよ!」と言います。そこで、シドは振り返り、お客さんに「22ドルだそうです」と伝えます。
すると、シドがその誤りに気付く前に、そそくさとお客さんは素早く22ドルを支払い、店を後にしました。
こうして、シドとハリーは元々22ドルだったスーツを売ることに成功したのでした。

このお話から分かることは、私たちは「比較するものがあると、比較するものがないときより、更に美しく、高く、大きく感じてしまう」ということです。そのため、その物の純粋な価値がわからなくなってしまうのです。

特に、この手法は値段のディスカウントで使われます。
値札に凄い高い値段が書いてあり、線が引かれ半額になっていた場合、安く感じてしまいませんか?通常ならこの値段ですが、今なら半額ですと。シドとハリーの話のように元から半額かもしれないのにです。

大きな値引きなどに騙されず、その物の本来の価値がいくらくらいなのかを考えて、モノを買うようにしましょう。

5.マイナスの過大評価のワナ

私たちは良く、「プラス」より「マイナス」の内容の方が記憶に残りやすいと言われています。つまり、「利益」より「損失」の方を大きく見積もってしまうということです。
言い換えると、「1万円を得る」ことより「1万円を失う」方が遥かに意識します。
私たちは「損失」に対して、同じ程度の「利益」が出たときにもたらされる喜びの、およそ2倍の苦痛を感じると言われています。

損をしたときの失った満足感【ショック】は、得をした時の満足感では埋め合わせられない、ということが証明されています。これが『マイナスの過大評価のワナ』です。

なので他人を説得したいときは、可能性のある「利益」を説明するより、発生する恐れのある「損失」の方を訴えかけるとうまくいきやすいと言われています。

さて、次はガンの早期発見のキャンペーンの内容です。一体どちらのチラシの方が、問い合わせが多いでしょうか?

チラシA:「乳がん検査を定期的に受けましょう。それにより早期発見、治療が可能です」
チラシB:「乳がんの検査を定期的に受けないと、早期発見できずに治療が不可能になる危険性があります」

答えはBのチラシです。
何かを失う不安は、それと同じ価値のモノを手に入れるより、大きな刺激を与えます。

マイナスのことが書いてあるからといって恐れず、チラシAのように言い換えるとどのようになるか考えて判断しましょう。

まとめ

今回は5つに絞りましたが、本当はこれが52個もの思考法がこの本には書かれています。
もし気になった人がいましたら下にリンクを貼っておきますので、買って読んでみて下さい!

この本は、「誤った先入観を捨て、より良い判断ができるように」というのが目的で書かれていますが、逆にモノを創る側、売る側からしたらこれほど、強力な武器はないような気がします。

例えば、「1.フレーミング効果」を応用するとしたら、同じ意味でも言葉の内容を変えるだけで、受け手が違う受け取り方をするので、言葉はしっかりと吟味するようにしたいですね。
「2.希少性の錯覚」で言えば、「希少性を用いた広告」は非常に効果があることを認識して、誘導することもできます。

なので、この本は消費者であり、供給者のどちらにも為になる本と言えますね。
こうした心理学を学ぶことで、人の心を誘導することができるのです。

あなたも知らず知らずのうちに、世の中の色々なワナにハマっているかもしれません。ただし、この本を読み「こういった事例が書いてあったかも」と思うことで立ち止まり疑うことができるようになります。

最後にテストです。

ここに初めに「2」次に「4」、次に「6」と書いた紙があります。
これに続く数字は何でしょう?どういった数字が続いていくでしょう?そして、この並んでいる数字のルールは何でしょうか?

正解は、「7」でも「8」でも良いです。
ルールは、「次に来る数字は前の数字よりも大きくなければならない」です。

もし、「8」「10」「12」など決めつけた人がいたら、「確証のワナ」にかかってますので、お気を付けください!

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